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  • 執筆者の写真Michie

フランスへの旅 その1

9月になりました。

毎年暑いけれど、また一段と暑かった今年の夏。


今年の夏、私はフランスに一ヶ月、勉強を兼ねて行ってきました。

梅雨に入る前の6月末、すでに暑い日本をあとにしてパリに向かいました。ヨーロッパは日本よりずっと涼しいに違いないと思いつつ、長袖もカーディガンもレインコートも持って。


ところが、今年の夏はヨーロッパは猛暑。着いた途端に40度近い気温の毎日。その上クーラーもなく、どうやって寝たらいいのやら、どうやって過ごしたらいいのやら、クーラーをガンガンつけて毎年夏を乗り切ってきた私には見当もつかない。


最初のアパルトマンは巨大な扇風機があったので、窓を開け放ち(網戸のない不安は日本人ならではなのか)轟音を出す扇風機を回して寝ること1日目。轟音すぎて眠れず。

パリは、夜もあまり気温が落ちず、とにかく暑かった。

かと言って、網戸どころか薄いレースのカーテンすらない部屋。窓を全開にして薄着すぎる格好で歩き回るのもちょっと不安。


それでも、一人旅行中、文句を言う相手がいるわけでもなく、解決してくれる手段があるわけでもなく、快適、とは言い難い毎日を、愚痴一つ言うことなく過ごしたのでした。



着いて三日後、パリでのヴィーガン料理学校が始まりました。

フランスをよく知っている方には当たり前かもですが、地下鉄もまたクーラーなし、学校ももちろんクーラーなし。

火を使うので、汗を額からぽろぽろこぼしながら1日中過ごすのは、結構しんどい。

しかし、学校に慣れるのに必死、できないフランス語を聞き取り会話するのに必死な私は、もうそんなことどうでもいい。

汗でマスカラやら落ちるのも面倒なので、もう二日目からは日焼け止めだけ。汗かこうが、汗の匂いがしようが、そんなことは二の次。授業についていけないほうがよほど辛い。



学校でもらうテキストは、私はその場ですぐには読めないので、アパルトマンに帰って、シャワーを浴びて、洗濯をしてから、辞書を使って読む毎日。

夜の八時は、日本の四時かと思うほど明るく、暗くなって少しでも涼しくなったら寝ようと勉強していると、毎日二時近く。どうせ眠れないので、朝は五時ごろ起きてシャワーを浴びて、涼しいうちに勉強しなければ、と必死。


人って、不快適な状況も結構我慢できるもんだ、と実感したのでした。

どうしようもないなら、文句言おうが、当たり散らそうが、受け入れざるを得ないから。

そしてそれを上回る大問題が起こっていると、多少の不満は些細なことに思えてくる。

明け方の涼しさや、ようやく日が落ちる時間、それを喜びにすら感じられる。


暑かろうが、網戸がなかろうが、パリに来て勉強できる喜び、開け放った窓からエッフェル塔のさきっちょが見えるという素敵な部屋、一人で過ごす大切な時間、自分のために作るご飯、シャワーの後の心地よさ、学校の優しい仲間、ユーモアあるシェフ、通学の地下鉄、そしてこの旅、、、


幸せって、自分の得ていることを有り難いと感じた瞬間に訪れるんだ、と気づいた瞬間でした。


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