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  • 執筆者の写真Michie

重曹について


重曹とは、炭酸水素ナトリウム、または重炭酸ナトリウム(重炭酸ソーダ、重炭酸曹達※略して重曹)。

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天然の鉱物を精製した天然重曹と、塩から化学合成された重曹がある。

日本では重曹を含む鉱石はとれないようなので、国産の天然重曹、と書いてある場合は、外国の鉱物(例えば中国とか)を輸入して日本で加工した、ということになるようだ。

どちらも炭酸水素ナトリウムを作り出すので、どちらがよいのか私にはまだ判断できないのだが、現在は、Bob’s Red Millのベーキングソーダを使っている。天然ではないが、化学物質を使わず加工されているようだ。

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重曹は、加熱されることで(約80℃以上)、炭酸ナトリウム(強いアルカリ性)と水と二酸化炭素に分解し、その二酸化炭素がケーキの生地を膨らませる。(”膨らむ”というのは、例えば、小麦に含まれるグルテンが二酸化炭素を包み込み、熱で膨張し、タンパク質が膨張した状態で固まる現象)

また重曹を酸と混ぜると二酸化炭素と酸のナトリウム塩になり、やはり膨張効果がでる。

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例えば、重曹とレモン(クエン酸が70%くらい含まれる)が反応するとどうなるかというと、

重曹(3NaHCO3 )+クエン酸(C6H8O7 )

→ クエン酸ナトリウム(Na3C6H5O7 )+ 水(3H2O )+ 二酸化炭素(3CO2)

(このクエン酸ナトリウムが苦味と塩味をもたらす)

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重曹は、苦味と匂いがあるため、料理に使うときは注意が必要となってくる。

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また、重曹のアルカリ性質に反応して食物のポリフェノールが変色する。

(例えば、米や小麦は黄色くなる、ゴボウやサツマイモ、コーヒーなどは緑や黒に、ココアはより濃い茶色に、ブルーベリー、紫キャベツ、赤ワイン、アサイー、ドラゴンフルーツ、ビーツなどは青くなる、など)

この色づく性質を利用して、ケーキやクッキーの焼き色をよくすることができる。

また、和菓子のどら焼きの皮やまんじゅうには、香りと色のために重曹が使われている。

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ケーキを焼く場合、酸性の材料(例えば、小麦粉、卵白、バター、ヨーグルト、レモン汁など)がある場合は、重曹のアルカリ性が多少中和されるので、苦味や匂いは緩和され、膨らみ効果と美味しそうな焼き色は出る、ということだ。

ただし、多く入れると苦味や香りはやはり強く出るので、少量での使用がよい。

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また、加熱による膨張効果もポイントなので、熱くなる力がオーブンや直火より弱い蒸し物の場合は、膨らむ効果が少ないようだ。

酸性の材料と組み合わせない場合は、加熱するまで膨らむ効果は出ないので、短時間での焼成には向かないということになる。しかし、材料を混ぜて寝かせたい場合には適している。

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そこで、重曹だけよりも、ベーキングパウダーと組み合わせて使うと、膨らみを出しつつ匂いや色付きの変化を減らすことが可能になってくる。

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重曹は癖があるのなら、ベーキングパウダーしか使わなければいいのでは?と思われるかもしれないが、そこにはまた理由がある。

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”使う量”

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重曹もベーキングパウダーも食品添加物だ。

安全性が確認されているはずの添加物だけれど、少量しか使わないとはいえ、多く摂取すると害があると言われている。

ケーキ一切れ食べる分には害がゼロだとしても、ケーキを食べ、マフィンを食べ、フィナンシェ 、マドレーヌ、毎日色々食べれば摂取量はかなり増える。体の小さな子供にはなお影響が大きくなる。

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できれば使わずにお菓子を作ることができればよいが、卵でふくらませたりしないヴィーガンのお菓子の場合、膨張剤はふんわりさせるケーキには必要となる。

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ベーキングパウダーは、重曹の匂いや苦味を緩和するために、他の添加物が組み合わされている。そのため、同量では重曹よりも膨らむ効果が少ない。

重曹1に対して、ベーキングパウダーは約1/3の重曹を含む。残りの2/3の中に、重曹よりも危険性の高いその他の添加物が加えられている。

(つまり、ベーキングパウダーを重曹に置き換える場合、ベーキングパウダー : 重曹 = 1 : 1/3とするのがよい)

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また、レモンをたっぷり入れたケーキなど、酸性の強いケーキの場合は、ベーキングパウダーだけだとアルカリ性が弱く、膨らみが悪い場合がある。その場合、ベーキングパウダーをたくさん入れるとやはり添加物摂取が増え、味にも影響が出てくるので、ベーキングパウダーを減らし、重曹を少し加える方が膨らみもよく、使用料は少なくて済む、と私は考えている。

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お菓子に使う場合、材料に酸性のものが多ければ重曹を加える、色をよくした場合は重曹を加える、またポリフェノールを多く含む食材を使うため色の変化が出てしまう場合は、重曹を使わない、という使い方がよいように思う。

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